第39章 甘党系女子:黒子
「そういうテツヤは?」
「いません」
「そう……」
それからしばらく沈黙に。
ますます何を話していいか、分からなくなってしまって。
あ、メールが来ました。火神くんから?
〈ちゃんと気持ち、伝えたか? まだならはっきり言っちまえよ〉
火神くん……そうですね。ありがとうございます。
「さんに、彼氏がいなくて良かったです」
「え……そ、そう?」
「はい。安心しました」
僕は顔を俯かせました。
今は顔が緩んでしまっていて、見せるわけにいきませんし。
数歩進んでから、小さな声が聞こえました。
「私も……テツヤに彼女いなくて安心した」
「え……」
頬を赤くして、強ばったような表情。
もしかして……?
ボクはさんの前に先回りしました。
はっきりと、伝えようと思いました。
「さんが好きです。いつも笑顔で、優しくて、甘党で……そんな君が好きです」
「わ、私も……いつも優しくて落ち着いてるテツヤのこと……好きです」
お互い気持ちが伝わって、ふふっと微笑み合いました。
腕がくっつくほどの距離で、家に着くまでを過ごしました。
~End~