第34章 スケート系女子:黄瀬
「あぶねっ!」
後ろでっちの声と、ドンと転ぶ音。
振り返ると、正座して上半身を前に倒してる姿勢だった。
どうやら、早く滑ろうとしてスケート靴の前方のスパイクでつんのめって転んだらしい。
「ははっ」
「ちょっと! 心配してくれないの? はぁ~、明日……いや明後日くらいから痛むわぁ」
「いや、だって、ビックリしたんスよ~」
「ふぅん」
あれ……怒っちゃった?
ひとまずベンチに座って休憩する。
「悪気はなかったんスよ、ごめんね?」
「まぁ、転んだ姿は爆笑もんだったけどー」
おどけた口調の中に、寂しさと怒りを感じた。
後悔した。
打ち付けた体が痛むみたいだから、切り上げて家まで送った。
家に帰って、っちからのLINEに気付いた。
左膝の大きな青たんの画像が添付されていて……痛々しい。
これはかなり痛い。なのに。
心配もしないなんて、最低だ。