第34章 スケート系女子:黄瀬
電話をかけたらすぐに出た。
「今日はごめん! 転んだとこ、痛くないスか?」
《言うの遅い》
「……ごめん」
罪悪感が広がる。
ごめん以外、何も言えない。
電話の向こうで、ふふっ、と笑い声がした。
《まぁ、大丈夫だよ。ごめんね》
「……良かった」
《お電話ありがとう、嬉しかったよ》
もう……優しすぎるんスよ、君は。
初めて会った時からそう。
だから、いつも敵わない。
「好きだよっち」
《え、なに急に……わ、私も好きだよ》
「うん、大好き」
電話越しに恥ずかしがってるっちが愛しい。
可愛いなぁ、ほんと。
好きだよ、大好き。
もう一度、心の中で思った。
《でも次のデートの時お仕置きだから。じゃね!》
ガチャ、ツーツーツー。
え。お仕置きってなんスか!
でも……また次もデート出来るってことっスよね!
オレはお仕置きのことを忘れて、次のデートを楽しみにしたのだった。
~End~