第30章 イケメン女子:黄瀬
「まだ怒ってるんスか?」
「当たり前」
なんで? 全然わかんないんスけど……。
あの程度のことで怒るなんて。
なんなんスか。
「いい加減にしないとマジで怒るっスよ」
「勝手にすれば」
あったまきた、なんスかその態度。
オレの愛情だけじゃ足りないってことスか?
男に走らないからいいってもんじゃないっスよ。
こっちだって妬いたりしてんのに勝手すぎる。
「そんなプンプンしたって全然可愛くないっスよ」
「別に狙ってないし」
「はキスした後の恥ずかしがった顔が一番可愛いっスよ」
「は ! ? 何言ってんの」
照れちゃたんスかー?
イケメン女子が「可愛い」で照れちゃっていいんスか?
いいんスよ、もちろんオレにだけね。
「あー、カッカしてたからつい本音喋っちゃた」
「黙れモテ男!」
オレを殴ろうとしてきた手を捕まえて少し壁に追い詰めた。
恥ずかしそうにしながらもオレを睨む。
シチュエーションが違ったらこれ最高っスよね。