第27章 誉め殺し系女子:今吉
「すまんなぁ、それは気付かんかったわ」
「翔一は……あんまり私に『好き』とか『可愛い』とか、言ってくれないね」
せやな、確かに言う回数は少ない。
直接はな。
せやけど諏佐に聞いてみぃ、呆れ顔で教えてくれると思うで。
普段ワシがお前のことどれだけ考えとるのか。
「寂しいか?」
「そりゃあね……」
「……そやろな、スマンかったわ」
「いいよ、ほんとは私のこと大好きだって知ってるから」
何で知っとるん?
いや付き合っとるんやから当然か……。
若松か。若松やな。お前ら仲ええもんな。
あいつ言いよったな多分。
ホンマ……あいつにはなんも喋られへんな。
そもそも諏佐が珍しくでっかい声で話したりするからや。
若松ひょっこり現れて興味津々の顔で話聞きに来たからな。
「せやで、ちゃーんと好きや」
「……そっか、ありがと」
どこか安心したような顔をした。
ワシが思っとった以上に不安にさせてしもーてたんやな。