第3章 ラッキーアイテム系女子:緑間
「んじゃまた明日ー」
「あぁ」
「じゃあね~」
下校。
ようやく2人になれた。
「和成君ウケる~」
「そうか」
「反応うすいぞ~」
と高尾……お互い友としての認識しかしていないことはわかる、だが……。
ふっ、らしくない……アイツにこれほど気を揉むなど。
「大丈夫? 考え事?」
「む? いや……」
の声で現実に戻された。
何でもない、この一言が言えない。
「大丈夫だよ、一番好きなのは真太郎だよ?」
「………」
「ふふ、目泳いでる目泳いでる」
"分かりづらい"と言われるオレだが、には全て見通されているようだ。
ふいに、右手に小さな左手の温かい感触。
「ねぇ、明日オフでしょ? ……デートしない?」
思えば暫くしていなかった。
イルカショーを見たいと言っていたのに。