第22章 童話系女子:黒子
「けど、今は私の傍にも王子様がいるもんね」
それって……ボクのことですか?
さんの表情はうまく見えないけれど、きっといつもみたいに恥ずかしがってると思います。
ボクもかなり恥ずかしいです。
「王子様、ですか?」
「うん。格好良くて優しくて素敵な王子様」
「なら、さんはボクにとって優しくて可愛くて素敵なお姫様です。
だから君のこと、いつか食べてしまうかもしれません」
「……ん、え? ど、どういうこと?」
「男は狼、ですよ。物語の王子様も、ボクも……」
例えば、赤ずきんを食べた狼と白雪姫を助けた王子様が同一人物……ということです。
大袈裟かもしれませんが。
……と考えると、男の人ってひどいですね。
「いい……テツヤになら」
「……え」
「いいよ……食べられても」
熱をはらんだ瞳。
熱い吐息。
そんな風に……言われたら……。
ボク、どうしたらいいですか……?