第22章 童話系女子:黒子
しばらく見つめあって優しくキスをした。
そっと触れるだけの優しいキス……。
「まだだめです」
「え……? どうして?」
「まだ……王子様でいたいです。狼になるのは、まだ先にしておきます」
「ふふ、そっか。そういうことなら嬉しい」
君のこと、大事にしたいんです。
守りたいんです。
ゆっくり、愛していきたいんです。
今度は深くキスをした。
だいぶ、上手く出来るようになったと思うんですけど……どうなんでしょう。
さんのトロンとした目を見る限り、多分上手くなってます。
「テツヤぁ……好き」
「ボクは大好きです」
「"大好き"ってちょっと幼稚に聞こえるから嫌ー」
ふふっ、君らしいですね。
確かに、少し幼稚かもしれません。
「愛してます」
「ごめんなさい、恥ずかしいです、大好きでいいです」
「凄く愛してます」
「テツヤ!」
ボクの本心ですから。
ずっと言い続けます。
そしていつか童話の世界のように、二人は結ばれる、になりたいです。
~End~