第22章 童話系女子:黒子
共通の趣味は読書。
でも好きなジャンルは全然違う。
ボクは小説、彼女は童話。
おかげでお互いの読書の幅は広がり、二人で感想を言い合うこともある。
「さんが紹介してくれた童話、読みました。面白かったです」
「それは良かった!」
童話には様々な種類があって、それぞれ特色がある。
ただ話を読むだけではなくて、特色を読むことも面白い。
「グリム童話のルンペルシュティルツヒェンって知ってる?」
「いえ……ハリポタの呪文みたいですね……。ルンペルツシュ……?」
「違う違う、ルンペルシュティルツヘン……ヒェン」
話すのやめました。
「グリム童話の残虐な部分かなりカットされてるけど、狼に食べられるのも十分に怖いと思うの。でも最終的に王子様と結ばれたりするのは夢みてたな~」
可愛らしいことを言うから……思わず笑みがこぼれた。
ボクが知らないさんの幼少期……見てみたい。
けれどボクの肩に寄りかかって言った一言で、そんな余裕はなくなりました。