第2章 「これからは全部僕のものだね。」
東京から京都まで2時間ちょっと。
大好きなお母さんと、赤司家の執事さんに見送られて乗った新幹線もそろそろ目的地に着く頃だ。
初めて会ったのにお母さんにすごく丁寧に接してくれた征十郎は、
新幹線に乗ってから優しそうなお母さんだなと微笑んで、ずっと私の手を握っていた。
「そろそろ着くよ。」
そう言って私の手に一つ、口づけを落とす。
「うん、楽しみだね。」
荷物はすでに新居に運び込まれていて、征十郎が選んだ新居を私はまだ知らない。
期待に胸を膨らませながら私は征十郎の手を強く握り返した。