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【黒バス】悪童くんと、良い子ちゃん。【花宮・R18】

第1章 始まりは


家族以外に敬語を使うのに慣れず、語尾がしりすぼみになってしまった

あの後さっさと練習に加わった花宮さんが一足先にステージに戻って来て、ホイッスルを鳴らして「休憩」と言った

良く通る声だ、と思う。少し羨ましい



「お疲れ様です!」







「…有栖、わざわざ全員に声をかけなくて良いんだぞ」

「え、だって声かけられた方が嬉しくないですか?何か、見てたんだなぁ、って」

「ちょw真面目w」

「え、鬱陶しかったですか?すみません、以後気を付けます…」

「…桐原、敬語」

「あ、え、すみませ…ごめ、ん」



流石に敬語は癖だし、外すのは下手だけど
慌てて口調を直し、俯く



「あれ、桐原ちゃん敬語やめたの?」

「花宮さ…花宮くん、が、外せ、って、仰っ…言った、から…」



慣れない
難しい
恥ずかしい

そんな感情が渦巻く私を、その場の皆が見つめる

いっぱいいっぱいの私は誰かに助けを求めたくても無理で、どんどん顔が熱くなる



「すみませ…ごめ、見ないで…」



ずる、と座り込んだ私を見て、花宮さん…くん、が私の手を引いて外に出る



「…え、花宮、くん?」

「大丈夫かよ、お前そんな簡単に知恵熱出すような奴か」

「知恵熱…。あ、だから頭痛…」



自覚すると尚更頭痛がひどくなる
脚に力が入らなくなり、そのまま意識も手放す

この時私は、何を考えてそこまでの事になったのかは覚えていなかった

意識を手放す瞬間、珍しく焦った様子の花宮くんが視界に入っていた







ガタン、と体育館の扉が開く

全員の視線がそこに集中すると、有栖を抱きかかえた花宮がいた



「あれ、珍しいね花宮。女子に優しくするとか」

「うるせぇ、何か知らねぇが熱出してぶっ倒れてんだよ。おい古橋」

「何だ?」

「こいつの家教えろ」

「…あぁ、すぐそこのマンションだぞ」

「うわ、同じマンションかよ」

「12階の筈だ。確か花宮も12階じゃなかったか」

「くそ、マジかよ」



原は何が面白かったのか一人で酷く笑っている

実際あのマンションは金持ちが住むような大きなもので、ワンフロアが二つの部屋…家?に別れている

花宮は121番、有栖は122番の筈だ

にしても、気付かないのか
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