第5章 ネタが降臨しない原因*伊月俊
「最近天気が良くないからじゃないですか?」
「でも去年はこうはならなかったよ」
「んー……風邪とか」
「それ、練習ん時言ってた」
「あ、そっか…!えっと……」
こんなオレの為に真剣に考えてくれるちゃんの横顔を見てると……なんかこう……あったかくなる。
今のちょっとしたボケも可愛くて、オレは隣でクスッと笑ってしまった。
「いやでも!風邪の引き始めかもですよっ!」
「けど熱ないし……」
「自分じゃわかってないのかもしれません!ちょっと失礼します…!」
「え…?ちょ…!」
勢いよく言ってきたなと思ったらグイっと距離が近付いて……オレ、ちゃんにおでこを触られてしまった。
凄く近くにちゃんの顔が見えて……
風邪からくる熱じゃない熱が……体の中で急激に上がっていくのがわかった。