第5章 ネタが降臨しない原因*伊月俊
このため息。ちゃんにかなり心配させてしまっていたようだ。
マネージャーの仕事を急いで終わらせて来たって。
そこまでしなくてもいいのにって思ったけど……
ちゃんの声が聞こえた時に小さく鳴った胸の事は……気付かないフリをしておいた。
「はい。悩み事とかあったら聞きますよ…?」
「悩みか……。強いて言うなら、何でこうもやる気がないのかなって事かな。ダジャレも思いつかないし」
「んー……」
「とりあえず歩こうか。立ち話してたら遅くなっちゃうから」
「あ、はい!すいません……」
「いいよ。行こう」
そういえば2人で帰るのはこれが初めてだな……。
なんて、悩みと全然関係ない事を考えながら歩くオレ。
ちゃんの歩幅に合わせてゆっくりと。