第28章 洛山を従える者
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『っ…… ふぇ…ヒック……』
私はバスに乗り込んですぐ堪えていた涙を流した
頭の中では赤司君の言葉や冷たい眼がグルグル回っている
久しぶりに会えて嬉しかったのは本当
相変わらず私に優しい彼は、“赤司君”も“征ちゃん”も変わらない
だけど、“赤司君”は時折すごく冷酷になる
それが自分に対してではなくても、私はそんな“彼”を見ていると悲しくなった
まるで“1人”で生きているような…
私は以前“征ちゃん”に『私が征ちゃんの居場所になる!だから征ちゃんは1人じゃない』と言った、けれどその後すぐ彼は“赤司君”になってしまった
(私じゃ居場所になれなかったのかな…?だから、あんな風になってしまったの…?どうやったら“彼”を救える…?)
きっと今の“彼”は私が側にいても、何も変わらない
それに言葉で言って聞き入れてもらえないなら、答えは1つしかない……
……やっぱり私はあなたの敵であることを望みます
『フゥ………』
だいぶ息も落ち着いてきた
(よしっ…!泣くのはもう… 終わり)
私は自分の頬を両手で叩く
それからしばらくバスに揺られ、準決勝と決勝の報告とビデオを渡すためリコさん家へ向かった