第27章 お菓子は正義
side
私は中学時代のことを思い出しながら、廊下を歩いていた
すると、後ろから聞こえる間延びした声
紫「あらら〜 この新味は良いぞ〜」
(この声は…まさか……‼︎)
私は思わず後ろを振り向いた
『あっ…君……っ』
私が振り向くと、やっぱり思っていた人物で、その彼は私を見るなり目を見開いて大好きなはずのまいう棒を床に落としていた
紫原side
「… ちん……?」
俺の前を歩いていた女の子は、まさかのずっとずっと会いたかった女の子だった
ビックリしすぎて、まいう棒を落としたことさえ気付かなかった
「っ……ちん‼︎‼︎」
俺は叫んだと同時に、持っていたお菓子を放って彼女の元へ向かい抱きしめた
『っ… あっ君……⁉︎』
「ちん‼︎ あのときはごめん…‼︎」
『えっ…?』
「俺がちんのこと嫌いな訳ねーじゃん‼︎‼︎ 俺はずっと… ずっと…っ‼︎」
『っ…‼︎』
「ずっとちんに会いたかった…‼︎‼︎」
やっと本音を言えた俺は、普段からは想像できないぐらい早口になっている
他人に興味を示さない俺が、それほど必死だった
『あっ君… 私もずっとあっ君に会いたかったよ…?』
「っ……ほんと…?」
『うん…』
「怒ってないの…? 俺のこと嫌いになってない…?」
『怒ってないし…、それにあのときも言ったでしょ? あっ君のこと嫌いになんかなれないって』ニコ
「っ……ちん……っ…」
そう言って俺の腕の中で俺を見上げながら微笑むちんは相変わらずすっげー可愛くて、優しくて、やっぱり俺はこの子が好きだって思い知らされた
『フフッ、あっ君ほんと久しぶりだね』
「ん。…久しぶり〜。ちん」
そして俺たちはやっと挨拶を交わした
『とりあえず… 散乱してるお菓子拾おっか』苦笑
「…そだね〜」
困ったように笑うちんを腕の中から解放して、俺たちは辺りに散らばってるお菓子を拾った
あの日伝えられなかったこと全部は言えなかったけど、とりあえず今はもう良いや〜…
だって、また俺の大好きなちんの笑顔が見れたから…