第15章 如月、部活やめるってよ
なんかまっすぐ帰る気になれない。
私は中庭の隅っこのベンチに座る。
スマホのアドレス帳をめくる。
誰か遊んでくれる人いないかな…。
何かしたいことがあるわけじゃない。
寂しいから。
寂しいから誰かと一緒にいたい。
私はひとりじゃないって実感したい。
桃越先輩は今日用事あるって言ってたし…
うーん、この男…
アドレス帳をたぐる手が止まる。
ちょっと強引なとこあるから、2人で会うの気が進まなくて、しばらく会ってなかったけど、呼んだら来てくれそうだし…今日はコイツでいいか。
メッセージ画面を開く。
ヒラヒラ…
……?
上から落ちてきた紙がスマホの画面を塞ぐ。
これは…カード?
私はそのカードを持ち上げて見る。
……!
サンシャインルミナス!
…
私の子供の頃…幼稚園の頃、大好きだった女子向け変身ヒロインアニメのキャラクター。
それがサンシャインルミナス。
このカードはルミナスチョコスナックに付いていたオマケのカード…
というより、私にはチョコスナックがオマケだったけど。
サンシャインルミナスのカードが欲しくて、買い物に行くたびお母さんにねだった。
カードをゲットしてからずっと。
ずっとずっと、そのカードは私の宝物だった。
今はどこにあるのかな、あのカード。
もしかして捨てちゃったかな…。
……。
私は今まで…大事なものを大事にしないで生きてきたんだ…。
私の目から涙がこぼれた。