第15章 如月、部活やめるってよ
それにしても、このカードが空から降ってくるなんて…
これはもしかして、私が子供のとき持っていたカードが時空の歪みとかから落ちてきたのかな?
そうに違いない、きっとそうだ。
私はスマホのメッセージ画面を閉じる。
カードをよく見てみる。
やたらキラキラしてるし、
二次元バーコードが付いてる…。
私が子供の頃はこんなのなかった。
じゃあ私のとは違うか。
でもきっと神様からのプレゼントかな。
私は制服のポケットにカードをしまう。
涙をサッと拭き、すがすがしい気持ちで立ち上がる。
バタバタバタ…
ん…?
男子がひとり中庭に走り込んできた。
そして這いつくばって茂みを探っている。
長めの髪を後ろで縛って眼鏡。オタクっぽい。
赤いネクタイ…先輩か。
「あの…先輩? 何か探しているんですか?」
私はそっと声をかけてみる。
「うわぁっ……! あっあっ失礼。人がいるとは思っていなかったわけで…」
ビックリした先輩が気まずそうに答える。
そう思って、そっと声をかけたのに。
「あの…もしかして…この辺りにカードは落ちていなかったでしょうか? 変身ヒロインアニメのカードなんですがっ」
先輩がすがるように尋ねる。
あぁ…これ、この人のカードだったのか。
私はガッカリする。
ポケットからカードを出す。
「これですか?」
私は先輩にカードを差し出す。
先輩はあわててカードに顔を近付ける。
「ああっ! これです! キミが拾っておいてくれたんですねっ。ありがとうございます! なんとお礼を申し上げていいか…。何かお返しさせていただきます!」
差し出したカードを受け取ろうと、先輩がカードを引っ張る。
私は指に力を入れて、カードを取られないようにする。
「……?」
先輩が不思議そうに私の顔をのぞく。
「お礼に…このカードもらえませんか? 300円払います」