第14章 僕のストーカー(逢坂紘夢)
「おにぎりありがとう。ごちそうさま。
あの、何か飲む? お礼というか…ごちそうするよ。自販機のジュースでよければ」
「あ、そんな、気をつかわないでください。たかだかおにぎりです」
「こっちこそ、たかだか自販機のジュースだよ。気にしないでいい。好みを教えてもらえるかな」
僕は立ち上がる。
「あ、えっと…炭酸じゃなくて、甘くて、でも甘過ぎなくて、出来たらフルーツ味で…」
「覚えられないよ、そんなに。一緒に買いに行こう。好きなの選んでいいから」
僕は笑いながら自販機に向かう。
「ご、ごめんなさいっ」
彼女も笑って僕についてくる。
…
次の朝。
「おはようございます! 今日はおにぎり弁当にしてみました」
朝の廊下で神田さんが僕に弁当包みを差し出す。
「へぇ…ありがとう」
僕は受け取る。
…
昼休み、弁当を食べ終わり、ふと思う。
……。
聞いてみよう。
「ねぇ、鳴海」
「またかい? 伝書鳩はもう最後って言ってたよ?」
鳴海が少し嫌な感じの顔で言う。
「いや、今から自分で返しに行こうと思うんだけどさ。直接返すならメモは付けなくてもいいんだろうか?」
「…君は恋愛小説を書いているくせに、そんなこともわからないのかい? 好きにすればいいと思うよ!」