第14章 僕のストーカー(逢坂紘夢)
お昼。弁当をひろげる。
……。
すごいな。
昨日とひとつもおかずがかぶってないどころか雰囲気がまったく違う。
昨日はどちらかというと和風だったけど、今日は洋風。
そしてやっぱりすごく美味しそう。
食べてみる。
やっぱりすごく美味しい。
明日はどんな弁当なんだろう…
ってダメだ。
きちんと断らないと。
あの子にも悪いし、彼女にも悪い。
食べ終わった僕は、持参したメモ用紙に手紙を書く。
サラサラ…
『今日もすごく美味しかった。だけど大変だろうし、もう作らないでいいよ。ごちそうさま』
弁当包みに手紙を挟む。
「鳴海、悪いけど、これをまたあの子に返してくれないかい?」
僕は鳴海の席に弁当包みを持っていく。
「かまわないけどさぁ…。君は毎日、僕に伝書鳩をさせる気かい?」
鳴海が手のひらで天を仰いであきれた様子を表現する。
演劇部だからいちいちオーバーだなぁ。
「悪いと思っているよ。でも今日が最後だから…頼むよ」
……
翌朝。
いつもの廊下を通るとき、いちおう構えていたが、弁当を持ったあの子は現れなかった。
そっか…うん。
これでまたいつも通り、彼女の見守りに専念出来る。
今日は購買で何買おうかな…。