第13章 女神なんかじゃない(逢坂紘夢)
昼休み。教室で友達とお弁当を食べる。
ちょうど食べ終わる頃。
「あ、来たよ、今日も。愛のパシリ」
友達が廊下を指差す。
逢坂くんがミルクティーを2本持ってニコニコしてる。
「別にパシリじゃないよ…」
私は席を立って、逢坂くんのとこに行く。
「逢坂くん、いつもありがとう。うちの教室で飲む?」
私の席で逢坂くんと一緒にミルクティーを飲む。
「えっと、ジュースのお金…。あ、今、小銭ないや。明日返すね」
私は財布を探って、彼に伝える。
「いいんだよ。そんなの返してくれなくて。僕はこうやって愛ちゃんと過ごしてもらうだけで幸せなんだから」
彼がニコニコする。
「え…そんな…。過ごしてもらう…なんて。私だって逢坂くんと一緒にいれて嬉しいんだよ?」
私は素直な気持ちを伝える。
「愛ちゃん…。君は本当に女神だね。僕に…僕なんかに…そんなに優しい微笑みと言葉を投げかけてくれる…」
彼が目を潤ませて語る。
女神…か…。
…
午後の授業中、私は考える。
逢坂くんは私のこと、よく女神って言う。
最初は冗談か、文芸部的表現かと思ってたけど…。
もしかして本気でそんなふうに思っているから…
キスとかしないの?
手を繋いだのさえ、最初にE組の教室から逃げ出したときだけ。
私はちょっとカッコイイ彼氏が出来たってだけで浮かれてたけど…
なんかちょっとツマラナイっていうか
寂しいな…