第13章 女神なんかじゃない(逢坂紘夢)
昼休み。
お弁当を食べた後、ルリカが立ち上がる。
「あっ私、マユに英和辞典返さなきゃ。愛、一緒に行こう」
「あぁ、うん…」
私も立ち上がり、ルリカと一緒にE組に向かう。
逢坂くんの姿をもう一度見たい
って私は思う。
「マユー」
今度はズカズカとE組の教室に入り込む。
「辞書サンキュー」
「おー」
友達と輪になってお菓子を食べていたマユちゃんが立ち上がり、私たちのほうに来て、ルリカから辞書を受け取る。
私はチラチラと逢坂くんの様子を盗み見る。
彼はさっきと同じ。
騒がしい私たちのことなんて、目にも耳にも入れたくないって感じで、本を読んでいる。
そんな私に勘付いたのかマユちゃんが提案する。
「ね、愛ちゃん。逢坂くんとしゃべってく?」
「えっ、ちがっ。いいよ、そんなの。本読んでるみたいだし…」
私は慌てて否定する。
「そんなのいつも読んでるし。おいでおいで。ねぇ、逢坂くん!」
マユちゃんが逢坂くんの席に寄っていく。
ルリカも、私もその後についていく。
ガタッ
逢坂くんが驚いた様子で立ち上がる。
「な、何かな」
「何、冷静ぶってるの。連れてきてあげたよ。愛ちゃん」
マユちゃんが言う。
「逢坂くんって愛のこと好きなの? マジー?」
ルリカが言う。
えっ、2人ともそんな直接的なっ
私は焦る。
「あの…えっと…その…気になるというか…。はい、そうです…」
逢坂くんが真っ赤になって頷く。
そうなの?
えっと…私はどうしたらいいのかな…
私も顔が熱い。うつむく。