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妄想BF(仮)

第12章 ねぇ(北城猛)


彼が私のノートを写す。

私は隣でヒザを抱えて、なんとなくその様子を眺める。

「何、じっと見てんだよ。うぜーな。ゲームでもやってろよ」

彼が私をチラッと見て言う。

「だって、私がゲームしたら、ヘタクソとか言っていつもバカにするじゃん」

「ぷっ、ヘタクソだからしょーがねぇだろ」

彼が笑う。

私は唇を尖らせる。

「ねぇ…」

ノートを写す彼に、私は改めて声をかける。

「なんだよ」

彼はシャーペンを握ったまま、顔を上げないで返事する。

「私たちって付き合ってるのかなぁ?」

「はぁ?」

私の質問に彼がちょっと顔を上げる。

「急に何言い出すんだよ。今、忙しいんだよ、俺は。見りゃわかるだろ」

それだけ言って、彼は再びシャーペンを動かす。

「だって北城くん、ゲームしてるとき返事してくれないもん。
ねぇ、私たち付き合ってるの?」

私は質問を重ねる。

「だりーな! 付き合ってんじゃねーの?」

彼は顔を上げないで、投げやりに答える。

「じゃあ、私は北城くんの彼女?」

「バカかおまえは。付き合ってんなら彼女だろ! こんな問題がわかるのに、なんでそんなことがわかんねーんだよ」

シャーペンの裏でノートの数式を軽くトントン叩きながら、私の顔を見て彼が答える。

でも、すぐ目をそらされる。

「私のこと好き?」

私は首を傾げて、彼の顔をのぞき込む。

数字を書く彼のシャーペンが一瞬止まる。

「うるさい! おまえ、ちょっと黙ってろ!」

ぶっきらぼうにそう言って、数式を写す彼の顔は少し赤い。

可愛い。

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