第12章 ねぇ(北城猛)
彼の気持ちを確認して、私は満足する。
でも今日はなんかもうちょっといじめたくなっちゃった。
私は机に頬杖ついて、彼にもう一個、言葉を投げる。
「ねぇ、キスして」
……。
彼のシャーペンが止まる。
そしてノートの上に置く。
彼が私の顔を見る…。
え…
彼の手がそっと、私の頬杖ついてる手をどけて添えられる。
そして、彼の唇が、私の唇に触れた。
…
唇が離れる。
どうしよう。どうしたらいいかわからない。
顔も見れないし、何も話せない。
彼も何も話さない。
こんなことしておいて、なんで何も話さないの。
あ、でも、してって言ったのは私か…。
えっと…
「ゲームしていい?」
やっとのことで思いついた言葉で、私は彼に尋ねる。
「…おう」
彼は頷いて、再びノートを写し始める。
…
動揺してるせいか、私はいつも以上にゲームが下手だったけど、彼は何も言わなかった。
fin