第12章 ねぇ(北城猛)
放課後。
今日は、北城くん家で宿題してる。
北城くんに誘われたの。
「愛、暇だろ? 家で一緒に宿題やろーぜ」
って。めずらしい。
どうやら数学の宿題、
「今度提出しなかったら、ただではおかない」
って真山先生に言われたらしい。
もちろん断る理由なんかないし、北城くん家にやってきた。
そして私は宿題してる。
北城くんはテレビゲームしてる。
なんでよ!
「そろそろ出来たか? 愛」
コントローラをカチャカチャしながら、彼が私に声をかける。
「もうちょっとー」
私は問題を解きながら答える。
私が全部やってから写すつもりなんだ。まったく。
もしかして、私って都合のいい女?
ブツブツ
「ん? なんか言ったか?」
「べつにっ」
心の声、漏れたかな?
…
「出来たっ」
私は宿題を終えて伸びをする。
「おっ出来たか。愛、次やっていいぞ」
彼がコントローラを差し出す。
「…いいよ、やらない」
私は答える。