第9章 ずっと一緒だニャ(雨宮久遠)
「ニャッ」
(あ、わたし寝てた。もう、日が暮れそう…)
雨宮くんは、私を胸の上に抱いて、私のカバンを枕にし、ベンチに仰向けになって、思いっきり寝てる。
ふふ…可愛い寝顔。
気持ちよさそうに寝てて、かわいそうだけど、そろそろ起こして戻してもらわないと。
やっぱ猫パンチかな?
その前に、可愛い寝顔にほっぺすりすりしてみるニャン
すりすり…
起きないニャ
じゃ…お顔ペロペロしちゃう?
ちょっと大胆?
いやいや、猫だから普通だよね…。
ペロペロ…
「ふふっ…くすくす…」
彼が寝ながら、くすぐったそうに笑う。
「愛…だめだよ…ふふ…」
キャー! 名前呼ばれると妙に恥ずかしいニャッ
ぺちぺちぺちぺち!
気づくと私は彼に猫パンチしてた。
「いて…いてて…」
彼が目を覚ます。
あっ、ごめん。
もうちょっと優しく起こすつもりだったのに。
「ふぁー、もう日が暮れるね」
彼は身体を起こし、伸びをしながら私に話す。
「ニャー(そろそろ帰る時間ニャ)」
私は彼の太ももをカリカリしてアピールする。
「そうだね。愛、おうちに帰る時間だね…」
彼は寂しそうな顔で、私を抱き上げる。
いつも、バイバイするとき、彼は少し寂しそう。
私と遊ぶのが楽しいからだと思ってたけど、なんか今日はちょっと様子が違う。
「ニャ?(どうしたニャ?)」
私は彼の顔をのぞく。