第1章 約束(雨宮久遠)
雨宮くんと一緒に帰り道を歩いていると、夕焼けチャイムが聴こえた。
良い子は帰る時間だ。懐かしいな。
「あ、夕焼けチャイムだ。子供の時、外で遊んでてこれが聴こえたら走って帰ったよね」
私がそう言うと、雨宮くんはちょっと寂しそうな顔をした。
「そう…。ぼくは子供の頃、外で遊べなかったから…」
「あっ、そうだったね…。なんかわたし、子供の頃からずっと一緒に遊んでた気がしちゃって」
私はちょっと言い訳する。
雨宮くん子供の頃は病気で入院してたもんね…。
雨宮くんが私の手を握った。
私が彼の顔を見ると、彼は少し悪戯っぽく笑う。
「ぼくたち…良い子じゃないから、寄り道しちゃおうか」
私は声を出さずにコクンと頷いた。
繋がれた手が恥ずかしくて、声が震えそうだったから。
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