第1章 約束(雨宮久遠)
私の家の近くの公園に寄り道する。
子供の頃、斗真とよく遊んだ公園。
良い子は帰った後なので静かだ。
「ここの公園で斗真とよく遊んだ?」
雨宮くんが私に聞く。
「う、うん。まあね」
私は答える。なんか気まずい。
「ふふ、でも今一緒にいるのはぼくだよ」
雨宮くんがちょっと強気な感じに微笑む。
「ぼくね…」
そう言って、彼は息を少し吸う。
そして私をふわっと抱きしめる。
……。
私は彼の肩におでこを乗せた。
雨宮くん、いつの間にこんなに背が高くなったのかな…。
「愛のこと…好きだよ」
雨宮くんの身体…暖かい…。
雨宮くんのこと、ずっと大事な友達だと思ってたけど…ずっと一緒にいたいからそう思ってたけど…。
「わたしも好き。雨宮くんのことが好き…」
「……よかった」
耳元で彼がふふっと笑う。
「ぼく…心臓がすごくドキドキして…病気再発したのかと思っちゃった」
「え…大丈夫?」
私は彼の顔を見上げる。
「うん。こうしてると平気なんだ。だからしばらくこうしてていい?」
「うん…」
私が頷くと彼は私の背中をギュッと抱きしめた。
私の心臓もすごくドキドキする。
「ずっと前から好きで…これからもずっとずっと好きだから…ずっと一緒にいようね」
彼の優しい声が聞こえる。
「うん」
私は彼の言葉に頷いた。
「約束…」
彼の細くて綺麗な指が私の頬を撫でる。
私は再び彼の顔を見上げる。
彼が優しく微笑む。
私も微笑み返す。
でもうまく笑えたかな。
ドキドキして…よくわからない。
いつも一緒にいるのに。
私もずっと前から好きなのに。
なんでこんなに急にドキドキしちゃうのかな。
彼の唇が私の唇にそっと触れた。
約束だよ?
これからもずっと…一緒にいようね。
fin