第6章 夏祭り(芹澤悠吏)
夜に先輩と会えるってだけでなんだか嬉しい。
しかも、おめかしして二人きりで。
絶対カップルに見えるよね。
さっきも焼きそば屋台のおじさんに
「お似合いだねぇ〜」
とか言われたし。
先輩と二人で出掛けるのは初めてじゃない。
私はいつもデートだと思ってるんだけど、先輩はそうじゃないみたいっていうかハッキリしなくて…。
…
「あっ、愛ぽん。かき氷食べたくない?」
先輩がかき氷の屋台を指差す。
「食べたいです! 何味にしよっかな…。イチゴがいいけど、ブルーハワイも捨てがたい…」
私は思わず真剣に悩む。
「あはは。かき氷で真剣に悩む愛ぽん可愛い」
先輩が私の顔を見て、優しく微笑む。
なんかドキッ
「ボクが両方買ってきてあげる。それで半分ずつ食べよう。待っててね」
そう言って、先輩はかき氷屋さんに向かった。
先輩、相変わらず優し〜い。大好き!
あれで、もうちょっとだけでも男らしかったらなぁ…。
まあでも、あれが先輩だから…。
そんなことを考えながら、混雑からちょっと離れた所で先輩を待つ。