• テキストサイズ

妄想BF(仮)

第6章 夏祭り(芹澤悠吏)


私は一人で暗くなったばかりの町を歩く。

芹澤先輩と待ち合わせ。

早く会いたくて、走りたくなっちゃうけど、浴衣だから我慢。

待ち合わせしたら、いつも先輩は先に来て待っててくれる。

今夜も待っててくれてるかな。

この先、曲がった神社の鳥居の前で待っててくれるかな。

……

「先輩! 待たせてごめんなさい!」

「ううん、愛ぽん。ボクが早く来ただけだから…って。
綺麗だね…浴衣…。
いや、浴衣が綺麗というよりも愛ぽんがすごく…綺麗…」

先輩が私の姿を見て、頬を少し赤らめる。

やった! 着てきてよかったぁ。

「えへへ。気に入ってもらえましたか?」

私はちょっとポーズを決める。

「うん! すごく似合ってるよ。
こんな素敵な女の子と夏祭りを楽しめるなんて…身に余る光栄だよ!」

先輩がちょっと興奮気味に語る。

ちょっとほめすぎな気もする。

「うふ、わたしも今日の先輩のカッコ好きです」

私は先輩の顔を見て言う。

「え…いつもと同じ格好してきちゃって…」

ちょっと戸惑いながら先輩が言う。

私は先輩の羽織ってるチェックのシャツをピラッとめくる。

「ほら、今日はみすゞちゃんTシャツじゃない。
みすゞちゃんに嫉妬しないで二人きりでデートが楽しめます」

ニッコリ笑って私は言う。

「みすゞちゃんに嫉妬…? デート…? え? え?」

先輩がちょっとアタフタする。

相変わらず鈍感というか何というか…。

「行きましょう。何だかいい匂いがする!」

私は先輩の手を握って歩きだす。

「えっ? 愛ぽん? 手っ…えっ?」

/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp