第5章 星の王子さま(雨宮久遠)
ある日、いつものように図書館に行った。
すると、私を待ち構えていた雨宮くんに、ひと気の少ない所に連れて行かれた。
「えっ…? ちょっとどうしたの…雨宮くん」
私はちょっとドキッとする。
彼は私に顔を近付けてコソコソ話す。
近い…ドキドキ…
「ぼく…すごい物みつけたかもしれないんだ!」
小さい声だけど彼の興奮は伝わってくる。
「すごい物?」
私は彼の顔を見る。
彼が得意げに、背中に隠していた一冊の本を私に見せる。
黒い薄い本。タイトルも著者名も書かれていない。かなり古い紙…。
「これは…!」
私も息を飲んで思わずつぶやく。
彼と顔を見合わせて頷く。
「魔法の書だね」