第5章 星の王子さま(雨宮久遠)
夏休みの学校で雨宮くんと、図書館で一緒に本を読んだり、運動部の練習を眺めたり、人が少ない学校を探検したりしてのんびり過ごす。
他の友達と遊んだり、塾の夏期講習の日は、午前中だけとか午後だけとか行く。
雨宮くんはいつも私の予定に合わせてくれて、待っていてくれる。
なんにもない日は朝から夕方までいたりする。
そんな日は、私はおにぎりとかサンドイッチとか持っていく。
雨宮くんにも勧めてみるけど、いつも
「ぼくは今日はあまりお腹空いてないんだ」
って言って食べない。
私はいつも一人で食べる。
雨宮くんは横でニコニコしてる。
「美味しそうに食べる愛ちゃん可愛い」
って言ってくれたりする。
「昨日ね、友達とゲーセン行ったの」
サンドイッチを食べながら、私は友達と遊びに行った話をする。
雨宮くんは私がどんな勉強してるとか、どんな友達とどんなことして遊んでるとか、そんな話が好きみたい。
「ゲーセン…ゲームする所だよね?」
「そうそう。プリクラ撮ってーUFOキャッチャーして…」
「ちょっと待って。プリクラってなんだっけ…」
「写真シールだよ。見せてあげる」
私は手帳を出してプリクラを見せる。
「わぁ、いっぱい。可愛い。キラキラ…。
この子、愛ちゃんの友達? この子も?」
雨宮くんが楽しそうにプリクラを眺める。
雨宮くんはあまり俗っぽいこととか知らない。
子どもの頃、ずっと入院してたから。
今は元気そうだけど。
「今度、一緒にゲーセン行ってプリクラ撮ろう?」
私は雨宮くんを誘ってみる。
「…今度ね」
ちょっと気まずそうに彼が返事する。
私はニッコリ笑って受け流す。