第15章 如月、部活やめるってよ
先輩がベンチに座るよう、うながしてくれた。
「幼稚園の年中の頃、ちょうどサンシャインルミナスがアニメに出てて、私大好きでした。年長になって新しいルミナスシリーズが始まっても、私サンシャインルミナスが一番好きでした」
先輩が「うんうん」って優しく頷いて、私の話を聞いてくれる。
「小学校に入学してもまだ好きでした。夏になって学校に水筒を持っていきました。年中の頃から大事に使っていたサンシャインルミナスの水筒です。
でも同じクラスの女子に言われたんです。
小学生なのにまだルミナス? しかもサンシャインルミナスって大昔じゃん! って…」
「あぁー…。女子の世界は厳しいね…」
「それで私…2階からその水筒をワザと落として…。割れちゃったーってお母さんに言って、新しいのを買ってもらったんです…」
「そっかぁ」
「殺しちゃったんです…サンシャインルミナスを…グスッ…ぐすん…」
涙がぶり返してくる。
「大丈夫だよ。サンシャインルミナスだってダークサイドに落ちたことがあるんだ。だからこそあんなに明るく輝いていられるんだよ」
話を聞いていたオタクの先輩が口を開く。
「え…? サンシャインルミナスがダークサイド…?」
私は思わず聞き返す。
「うん。サンシャインルミナスが友達を裏切ったとき…」
「サンシャインルミナスが友達を裏切るわけないでしょ! それ、変な同人誌かなんかの話じゃないですか!?」
私は先輩の話をさえぎる。
「本編だよ。そっか…キミはまだ小さかったから、よくわからなかったんだね。そう、ボクもオンタイムで見ているときは幼稚園…そうだね、キミの1コ上だから年長だった。でもストーリーはそのときはちゃんと理解していなかった。
小学生のとき、再放送で見て感銘を受けたよ。こんなに深い話だったのか…って」
先輩がしみじみと語る。