第15章 如月、部活やめるってよ
「え…あの…?」
先輩が戸惑った様子で私をうかがう。
「これ、ルミナスチョコスナックのカードですよね? 確かあれって100円ぐらいだったはず。ダメですか? なら1000円…」
「ちょ…ちょっと待って」
先輩がカードから手を離す。
そして優しく問いかける。
「キミはもしかして、サンシャインルミナスのファン?」
「はい…。私も子供の頃にサンシャインルミナスのカードを大事にしていました。でも…いつの間にか、どこかへいってしまって…。このカードが空から落ちてきて、今度こそ大事にしようと思ったんです」
「そうだったんだ…。でもこれはチョコスナックのオマケじゃないんだ。プレミアムイベントで購入したプレミアムカードだから…」
先輩が申し訳なさそうに言う。
「プレミアム…なんですか…。だからこんなにキラキラして…。貴重なものなんですね。そうとは知らず失礼なことを言ってすみませんでした」
私はペコっと頭を下げて、再びそのプレミアムなカードを差し出す。
先輩は優しく微笑む。
「いいよ、キミにあげる」
「えっ」
「空からカードが降ってきたら、そりゃ自分のものだと思うよね。変身ヒロインのお約束だから。
ま、実際はボクが窓ぎわでカードの整理をしていて、風で飛ばされちゃっただけなんだけどね。
ルミナスは頑張る女の子の味方だから…キミが持っていたほうがいいかも!」
先輩はニッコリ笑う。
私の目から涙があふれ出た。
「え…! あの! だ、だ、大丈夫ですか! キミ!」
目の前の先輩があわてる。
私は泣きながら打ち明ける。
「ワガママ言ってごめんなさい。私は今の今までサンシャインルミナスのことを忘れていたのに…。
先輩はずっとサンシャインルミナスを応援していたんですよね。だからプレミアムイベントにまで足を運んで…。
私に…私には…このカードを持つ資格はありません…。
だって私…昔…
サンシャインルミナスを殺してしまったんです! うわーん…」
「あの…?」
泣きじゃくる私に戸惑いながら、先輩はそっと私の肩に優しく手を置いた。