第2章 キミとの距離(芹澤悠吏)
先輩が優しく教えてくれて勉強が捗る。
数学出来る男子っていいな〜かっこいい。
「先輩のおかげでだいぶわかってきました」
「本当?よかった。愛ぽんの役に立てて嬉しいよ」
先輩はそう言いながらメガネを外した。
……。
先輩がメガネ外したとこ初めて見た…。
先輩がこっちを見てビクッとする。
「……!? あのっ!よく見えないんだけど…もしかしてガン見してる?」
「はい…。あまりにもかっこよくて…」
私は正直に思ったことを言う。
先輩は慌てて否定する。
「え!あ、ありえない!気のせいだよ!愛ぽん勉強しすぎで目が疲れたんじゃない?」
「え、そんなことないですよ。もうちょい近くで見ていいですか?」
私は顔を近付けて先輩の顔を見る。
うん、かっこいい。
「ち、近いよ。愛ぽん…」
先輩がちょっと引き気味に言う。
「あ、ごめんなさい。夢中になっちゃって……えっ?」
先輩の手が私の頬にそっと触れる。
そして私の目をじっと見て言う。
「キスしてもいい…?」
「え…」
私はびっくりして先輩の目を見つめ返す。
「あっ…ごめん!調子に乗っちゃって…。あはは〜」
先輩が笑ってごまかしながら、私から身体を離そうとする。
私はバッと先輩に抱きつく。