第7章 the past ③
3人の後ろからか細い声がした。
そちらの方を向けば、一会が私を見ている。
心臓を掴まれた気がした。
「あ、お母さん。颯斗さんよ。わかる?」
「はやと?ごめんなさい。わからないわ」
一会は首を横に振る。
「そっかぁ....」
白音さんは少しだけ残念そうな顔をした。
僕は話題を変えた。
「そういえば、意識、戻ったんですね」
「そうなのよ。一昨日だったかしら。来てみたら意識が戻っていてとても驚いたわ」
白音さんの表情が明るく、ぱぁとなった。
「あなたのおかげね」
「え?」
「一昨日の前の日にあなたが来た。これはあなたがなにかのおまじないをしたのかと思ったのだけれど....違いましたか?」
あ....
まさか、あれか?
いや、ありえない....
「いいえ、僕もあの後すぐに帰りました。なにもしていないですよ」
「あら、そう....」
「これ」
僕は持っているブーケ花束を白音さんに差し出した。