第1章 82回目の高校2年生
田中がおにぎりを頬張って言う。
「あぁ。今年の1年に北川第一のやつが来るかどうかって話しだよ」
菅原が答えた。
「え、あの影山ですか?」
吉川も話しに参加してきた。
吉川は食べるのが早いらしく、弁当箱を片付けている。
「そうそう、そいつ!颯斗は入ってくると思うか?」
西谷も食いついてきた。
「え....どうかな。北川第一とここはそこそこ近いから入って来るんじゃないか?いや、でも....青葉城西のほうが近いか?」
右の人指し指を口元に当て、ごちゃごちゃ言っている吉川を傍目に西谷は田中にも聞いている。
「入って来ないんじゃないか?そいつ、強いんだろ?4強とかに行きそうじゃね?」
烏野に影山が入ってくるか否やで昼食の時間が終わった。
*****
13時30分。
騒がしかった部室は静まり返り、その代わり体育館からシューズが擦れてキュッと音がする。
体育館ではネットを張っていたり、ボールが入っている籠を出したりと、部活の準備をしている。
準備が出来たところで澤村の「集合ー!」という声がかかった。
ぞろぞろと澤村のところに集まってきた。
「今日は明日の入学式のため、15時30分まで!16時には完全下校だからな」
「オスッ!」
8人の声が体育館に響く。
澤村が「体操ー!」と言うと小さな円が大きくなった。
澤村が「1,2,3,4」と言うと8人は「5,6,7,8」と言う。
体操が終われば次は体育館10周のランニング。
それが終われば、ボールを使っての練習となる。
「スガ」
菅原がドリンクを飲んでいると隣で立ってタオルで汗を拭いている澤村が声を掛けた。
菅原は「なに?」とドリンクを置きながら答える。
「明日の部活動紹介なんだけどさ、スガも出るだろ?」
「そうだけど」
「言うこと決まってるか?」
「まぁ、大体は」
「そうか.... 」
「なに、大地。まだ決まってないの?」
「……」