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【ハイキュー】Re:year

第7章 the past ③


いじめを受けることはなかった。
だけど、陰で僕の悪口を言っているのは知っている。
辛い。止めてしまいたい。
何度もそう思った。
けれど止められない。
そういう道を僕自ら選んだのだ。

*****

いくつもの季節が巡り、56回目の高校2年の秋。
それは突然とやってきた。
一会の命の危険を僕の羽根が知らせる。
僕は血の気のない顔で、羽根の気配を追う。

一会は仙台市内の大きな病院に入院している。
僕はぞっと悪寒がした。

また、心臓の病なのか?

そう考えるだけで、震えた。
怖くて怖くて病室に入る勇気がなく、暫く休憩室にいた。
決心がつき、病室のドアを開けて中に入った。
6人部屋の窓側。
静かに眠っている一会を見つけた。

一会の姿は年を老い、やせ細った顔つき、血管が浮かび上がっている腕。
すべてがあの頃とはまるで違う。
それもそうだろう。
一会はもう73だ。

僕の知る一会はあの公園で見た姿だった。
あの頃からなにも変わらないわけがない。
時代も流れ、昭和から平成へ。
僕以外のすべては時を刻み、変わっていく。
変わらないのは僕だけだ。

僕は眠っている一会のベッドに近寄り、髪を撫でる。
その髪は白くて薬のせいか歳のせいか、少なくなっている。
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