第6章 遺書
月島はお盆を机に置き、吉川の前にコップを持っていく。
吉川は少し頭をさげてお礼をする。
月島は自分のコップも机の上置いた。
お盆を勉強机に置き、似つかわしくないダンボールを持って、吉川の隣に座る。
「渡したい物とは、これなんです」
月島はダンボールを開け、中から1冊のノートを取り出す。
それを、吉川の目の前に持っていく。
ノートの表紙には1931.7.3~1931.9.5と数字が並んでいた。
今から約83年前のものらしい。
ノートは色褪せ黄色く黄ばんでいる。
吉川はこのノートに見覚えがあった。
一会が病院で、毎日なにかを書いていたノートだ。
「なに、このノート....」
吉川は手に取って表紙をまじまじと見る。
「曾祖母の日記です」
「え?」
吉川はばっと顔を上げた。
すると、月島がさっと吉川が持っていたノートを抜き取ると、パラパラとページを捲り始めた。
手を止めたページはノートの5分の1ページらへん。
「ここから暫く読んでみてください」
渡されたページには上の方に7月14日と記されている。
吉川は読んでいく。