第6章 遺書
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翌日、吉川は月島の隣を歩いている。
今日は部活の自主練をせずにあがった。
月島が家の敷地に入っていくのが見えて、後を追う。
鍵を開け、ドアを開ける。
すると、月島独特の匂いが春の風に乗って漂ってきた。
「お邪魔します」
吉川はそう言い、玄関で靴を脱ぎ上がる。
玄関を上がったらすぐ階段がある。
月島は階段を上がっていく。
吉川も付いていく。
廊下があり、左に1つ、右に2つドアがあり、月島は左のドアに手をかけ、部屋に入っていく。
月島の部屋は意外と物があった。
勉強机の上は、綺麗にされていたが、椅子がない方にはノートや問題集が重ねられている。
当然、机の教科書棚もぎっしり詰まっている。
机の向かいにシングルベッドがある。
青色に統一された寝具は、綺麗にされている。
その、ベッドの枕が置かれている場所とは反対の床に、1つのダンボールが置かれている。
この部屋に似つかわしくない。
カーペットは白1色の円形をしている。
その上に、黒のシックな小さな正方形の机が置かれている。
「適当に座っていてください。なにか飲み物持ってきます」
そういうと、荷物を机の上に置いた月島が、部屋を出る際に言った。
適当にって言われても....
困るんだよな....
吉川は、遠慮気味に小さな机の前に座る。
程なくしてお盆の上にお茶の入ったコップを乗せて月島が入ってきた。