第2章 出会い
吉川はジャージの袖で涙を拭う。
「大丈夫です。もう平気です」
澤村は菅原と顔を合わせた。
それから、1年2人の自己紹介をする。
薄い金色の髪の長身が月島蛍。
そばかすの子が山口忠。
月島....?
やっぱり一会じゃない
そして、今日の3対3の説明をする。
3対3をしている時、吉川は月島から目を離すことが出来なかった。
(なんであの人、僕を見ているんだろ。やりづらい....)
月島は田中のスパイクを止めるため、ブロックする。
(そういや、あの人。昼休みにも見た人だよね。すごく焦っていた感じだったけど。それに、なんで僕を見て泣いたんだろ。それに、僕あの人と会ったことがある気がする....)
「ツッキー!!」「月島!!」
山口と澤村の声でボーとしていた月島は我に返った。
しかし、その時にはもうボールは目の前にきている。
「え…」
月島は咄嗟のことで訳が分からず、ボールを顔面で受けてしまった。
ボールの強さに負け、月島は尻餅をつく。
その様子をずっと見ていた吉川は誰よりも先に月島のもとに駆け出す。
隣にいた菅原は駆け出す吉川を見ている。
(あんな焦る吉川を初めて見た)
「おいっ月島大丈夫か!?」
「ヅッギーーー!?」
澤村と山口が心配して声をかける。
吉川は無言で、でもどこか心配している顔で月島に近寄る。
向こうコートで田中と日向が「プクク」と笑っている。
「おいっそこ!笑うな!」と菅原が注意する。
東峰は「ど、どうしよう....あ、救急車。救急車呼ばないと」とオロオロしている。
「旭、落ち着け!」と菅原がツッコミを入れる。
「月島、お前。眼鏡が....」
西谷が月島の眼鏡を指差す。
「え、あ....」
月島が眼鏡を外して声を漏らす。