第2章 出会い
影山が何を求めているかが分かり、吉川はにっこりと微笑んで言う。
「僕、見ての通り暇なんだ。だからさ、みんなが来るまで付き合って」
吉川はステージ側のコートに移動する。
影山は意味が分かったようで、「はい」っと返事をした。
*****
一方、部活動紹介が終わり、ビラ配りをしている澤村たち。
いろいろなところから部活勧誘の声がする。
その声に負けじとバレー部男子たちも声を張り上げる。
と、その時。
物凄いスピードでオレンジ色の何かが澤村たちの前を駆け抜けて行った。
菅原が駆け抜けて行った方を見ると、そこにはおどおどしている1年と、ビラを配っている2年と3年しかいない。
(あれ?もういないや....)
*****
2年と3年の部活勧誘を無視して、人を掻き分けて走る1人の少年がいる。
少年の表情はどこかわくわくしているようにも見える。
走る走る。
どんどん走る。
どこかで「廊下を走るな」と言う声が聞こえた。
だが、少年はお構いなく走る。
そして、校舎を飛び出して向かった先は第2体育館。
「あ"ーーーーー!!!?」
少年は体育館に入るといきなり大声を出した。
「なんでいる!影山飛雄!!」
少年は今まさにジャンプサーブをしている影山を指差し、叫ぶ。
その声に驚いた影山はうまくジャンプしきれず、失敗。
高く放り上げられたボールはそのまま床に落ちた。
影山は扉の前で自分を差している少年を見る。
「あ....去年の。名前は知らない」
影山が落ち着いた様子で言うと少年は、影山を差していた指を自分に向け、言い放つ。
「お...おれは日向翔陽だ!お、覚えとけ!」
オレンジ頭の背の低い少年ーーー日向翔陽はまたもや大声で自己紹介。
その声は少し震えていた気がする。
「ふーん。お前のことはよく覚えている。........下手くそ」
日向は最後の一言にカチンとき、また大声で、
「去年のおれとは違う!おれは烏野のエースになる!」