第1章 見つめる星 レギュラス七夕夢
「見てるよ、ちゃんと」
私は此処に来た目的を思い出したーー獅子座を見る為だ。
獅子座の胸あたりで一際強く輝く星、レグルスが見たくて。
獅子座の星々の中で1番の輝きを放つ恒星レグルスは、夜空に広がる星々で21個ある一等星の中では一番輝きの小さい…夜空の闇に近い星なのだ。
それは、グリフィンドール所属の兄を持ち闇の魔法使いを多く輩出したスリザリンに身を置くレギュラスそのままに思えた。
獅子座は春の星座の為、7月に入った今はもう…地平線の下に隠れてしまっていたけれど、私の見たかった星は此処にある。
同じ名と同じ輝きを持った貴方を今もまだ見つめてる。
チラッと私を見たレギュラスは、はぁとため息をついて、私の方へ身体を向けた。
今度は目があっても逸らされる事もなくて、でも…やっぱり頬は赤いかな?なんて思って笑っていたら
「戻りましょう」
そう言って立ち上がるレギュラスにつられ立ち上がってしまった私は、この時間が終わるのが惜しい為に不服そうに声をだした。
「えー…まだ見てたいのにー」
ホグワーツ城へと足を進めるレギュラスと繋がれた手を見て顔を赤くしながらも、それを誤魔化す様に小声で文句を言っていた私。
「就寝時間までまだ少しあります。時間まで2人でゆっくりしませんか?」
寮への階段を前にした所で、くるりと振り返りレギュラスは言った。
「いいの?」
だって、夕食前に談話室でレポートがどうとか言ってセブルス先輩と話してたじゃない?
魔法薬学のレポートは他の教科より量も多くなりがちだし時間もかかる…けれど
「まだ見ていたいんでしょう?」
僕をーーーと、本来の色に戻った灰色の瞳を見ていた私に、彼にしては珍しい意地悪な笑顔で尋ねられてしまい、顔に熱が集まるのを感じながら私は頷いた。
それに満足そうに笑った彼は一言。
「僕もネームと同じ気持ちですから」
地下の寮へと続く緩やかな螺旋階段を下りる間も私は彼を見つめ続け、これからも彼から視線は外せそうにないであろう事を悟った。