第1章 本編
「って!迷子なっちゃったι」
私はどうやら部屋が分からなくなってしまった。
「う~ん…誰かいないかなぁ…?」
私はあたりを見渡した。執事やメイドさんを探してみるが、気配はない。
「どうしよう…ケータイは跡部の部屋だし…内線使えるかな?」
私はとりあえず、近くの部屋に入った。
「電気はっと…」
私は電気をつけて、固まった。
「うわ…」
そこには、有り得ない程の服があった。男性女性の物があった。中には見覚えがある服も…
「衣装部屋?」
私はあたりを見渡した。
「ちょっと着てみたいかも♪」
私は、着替えたい衝動に駆られた。
「どれがいいかなぁ?…ん?」
私は何かを触った。よく分からないので、服を寄せて覗き込む。
「あった!内線っ!」
私はお目当ての内線を発見した。私は受話器を手に取って、
「どこに繋がるかなぁ…?」
───トゥルルル…
私は耳を澄ました。
『はい』
「あ、スミマセン。迷子になっちゃって…」
『アーン?不二子じゃねぇか。』
「跡部?衣装部屋だから迎えに来て~じゃ!」
私は用件だけ伝えると、受話器を置いた。
「跡部が迎えに来るまで、見てよぉ☆」
私はさらに奥まで入って言った。奥に行けば行くほど、派手な物が増えてきた。
「パーティー用かな?あは♪これいいなぁ~」
私は1着のドレスを手に取る。
「跡部まだ来ないしぃ…着ちゃえ☆」
私はおもむろに服を脱いで、ドレスに袖を通す。
「うわっ!サイズぴったり☆」
私は鏡を見つけ、鏡の前でクルリと回ってみる。シフォンドレスの裾が、ひらりと舞う。
「これ私に似合ってるじゃん!」
自意識過剰な発言をしていると…
「こんな所にいやがったι」
「跡部。遅かったね~」
「お前、何着てんだ?」
跡部は右足に体重を乗せ、腕を組みながらこちらを見ている。
「えへ♪似合うでしょ?」
私はクルリと回ってみせた。
「似合ってるがよ…そんな格好してたら、ここで犯すぞ?アーン?」
跡部はクスリと笑った。勿論冗談で言っているのだが…
「それはイヤ!着替えるからあっち行ってて!」
「早くしろよ」
跡部は入口の方に戻って行った。私は自分の服を持って、さらに奥に行く。手早く着替えて、ドレスを元の場所に戻す。そして入口の方に走って行った。