第1章 本編
跡部は、ジローを起こして部活に行ってしまった。
「一体何だってのよ…とりあえず帰って準備しとくか…」
私は足早に自宅に帰り準備を始めた。
「ケド、夢なんて見れんのかなぁ…」
私はボソボソともらした。約束の時間までは後5分。
「あっ…親に言うの忘れてた。お母さーん!今日、跡部の家泊まり行くから、ご飯いらない」
『どうして今言うのよ!ご飯作っちゃったじゃない!』
「だって忘れてたからー」
私は親とそういうやり取りをしているうちに、約束の時間が来た。
───ピンポーン
「あ、来た」
私は玄関を開けに2階から降りてきた。
『まだ話は終わってないでしょ!聞いてるの?不二子ちゃん!』
叫ぶ母を後目に、私は玄関を開けた。
「はぁい!」
「よう。準備はできてるな?」
そこには、制服姿の跡部が立っていた。
「うん。荷物取って来るね」
私はバタバタと階段を駆け上がった。
『ごめんなさいね、跡部君…』
「あ、いえ。泊まりに来るように言ったのは俺ですから、不二子さんは悪くないです」
『そう?じゃあ、不二子ちゃんをよろしくね?』
「はい」
跡部は、親を言いくるめた。そこへ私は階段をトントンと降りてきた。
「お待たせ!じゃあ行ってきまーす」
私はそういうと玄関を出た。跡部は親にお辞儀をしてから出てきた。
「律儀だね」
「まぁな。こんな男の家に年頃の娘を泊めるなんて危ない、何て思われたくねぇしな」
「た、確かに…」
私は妙に納得した。というかさせられた。
「ジローが車で待ってる。行くぞ」
「うん!」
私は車に駆け寄った。見ると眠そうなジローがいた。
「ジーロー☆やっほっ♪」
私はコンコンと窓を叩く。
「あ~…不二子だぁ…どうしたのぉ?不二子もお泊まりぃ?」
ジローは寝ぼけながら問いかけてきた。
「うん!ジローと一緒だよ☆」
「俺と不二子、一緒ぉ~」
私は後部座席に座った。ジローとラブラブしながら会話していると、跡部宅に着いた。
「跡部、お腹すいたぁ~」
私は跡部に訴えた。何も食べていないので、結構キツい。
「アーン?なら飯食うか?」
「食べる食べる♪」
「俺、マト~ン…」