第1章 本編
「ジローってどんな夢見てるの?」
「んー…覚えてない…」
「何で!?」
「いっぱい、寝てるから」
ジローは理由にならない理由を述べた。
「ジローの夢、知りたいのになぁ…」
「ZZzz....」
「って、寝てるし!」
私はジローの夢が気になっている。だって、
「…1ぴ…樺…うま…」
とか、
「すぅ…んっ…魔法…不二子…こ…」
とか、
「跡部…し…ろぅ…」
とか、寝言をよくいう。しかも、内容がよく解らない!
「うっ…くっ…」
ジローが苦しんでいる。
「ジロー!?」
私は焦ってジローを起こしにかかる。
「ジロー!ジロー!」
ジローをブルブル揺すった。
「なぁにぃ~?いい夢見てたのにぃ…」
「いい夢で魘されないと思うんだけど…」
私は冷静に突っ込んでみた。しかし、
「ZZzz....」
「あ~!また寝たしっ↓」
私の声はジローに届くことはなかった。
「はぁ~…」
「アーン?不二子じゃねーか。こんな所で何して…ってジローもいるじゃねーか。お前らここで何やってんだ?」
突如目の前に、跡部が現れた。しかも、ユニフォーム姿で。
「あ、部活の時間?じゃあジローやらなきゃね」
私は部活が始まったと思ってジローを起こしにかかる。しかし、私の手は跡部によって止められてしまった。
「何?」
「さっきは面白いこと言ってたな、不二子?」
跡部はニヤリと笑っている。
「?私、面白いこと何て言ってないけど…」
「ジローの夢見たいんだろ、不二子 ?」
跡部に、さっきの会話(?)を聞かれていたようだ。
「うん…けど、ジロー覚えてないって…」
「ジローの夢見たいか?」
跡部は問いかけてきた。勿論見たいのだが、私には策がない。
「もし、見れるとしたら?」
「モチロン見たい!」
私は即答した。だってあんな寝言を気にならない筈がない!
「なら、今日は泊まりだな」
「え?」
私は一体何が起きるのか見当が付かず、アホ面をしてしまった。
「何だぁ?その締まりのない顔は」
「だ、だって…跡部がいきなり泊まり何て言うから…」
「見せてやるっつってんだ。ジローの夢って奴を」
跡部は髪を掻きあげつつ、こう告げた。
「今夜7時、泊まる準備をして家で待ってろ。わかったな」