第1章 本編
「…夢か」
私は呟くと、体に重みが掛かっていることに気づいた。横を見ると、忍足が私に寄りかかって寝ていた。
「…可愛いなぁ」
私はくすりと笑った。そして、鞄からカメラを取り出し…
「侑士の寝顔」
私はピースをして、写真を撮った。勿論2ショットで。
「何て言うかな?うふっ…」
私はカメラを鞄にしまった。まだまだ日は高い。子供達がサッカーをしている。
「元気だなぁ…」
私は、ぽかぽか陽気と忍足の寝顔でのほほんとしていた。
「…不二子…」
「何?」
「…すぅ…」
「寝言?」
私は忍足の顔を覗き込んだ。すやすやと寝ていた。
「私の夢でも見ているのかなぁ?」
私はちょっと嬉しくなった。しかし、
「…白…なぁ…」
「ん?」
「…えぇ眺…」
何やら寝言がエスカレートしている。
「…怒らんで…おかん…」
「ちょっと…どんな夢見てんのよ?」
私は忍足を起こそうと、体を揺すった。
「侑士!起きてよ。侑っ!?」
───ドン
私の顔に、いきなりボールが飛んできた。私は、後ろに倒れ込んだ。勿論、寄りかかっていた忍足もバランスを失った。
「っと…なんや?せっかくいい夢見とっ…って不二子!どないしたん!」
忍足は私を起こしてくれたのだが…
「すいませーん!ボール取って下さーい!」
遠くから子供の声が聞こえた。忍足は側に転がっていたボールを投げてやった。
「ありがとうございました!」
子供達は何食わぬ顔でサッカーを続けた。ただ、さっきよりも距離が遠くなったという事を除いては…