第1章 本編
『ご馳走様でした!』
私たちは、楽しくお弁当を完食した。そして、ぽかぽか陽気に私は、
「何だか眠くなって来たね」
「せやな。ちょっと寝ようか?」
「うん。侑士に寄りかかってもいい?」
「かまへんで」
忍足は私に近寄って、寝やすいように体勢を直してくれた。そして、オデコに軽くキスをした。
「いい夢みてな?」
「うん。おやすみ…」
私はそういうと、夢の中へと堕ちていった。
私は忍足の部屋に来ていた。
「今お茶でも持って来るわ。待っとってな」
「うん」
そういうと、忍足は部屋を後にした。部屋に残された私は、辺りをぐるりと見渡した。
「あんまり物がないなぁ…」
忍足の部屋は、ベッド、コンポ、本棚、小さなテーブル、テレビ、秘密の間であるクローゼットがあるだけだった。
「生活感ない部屋だなぁ…」
そんな事を考えていると、忍足が戻って来た。
「紅茶でえぇか?」
「うん」
忍足は、紅茶のカップを渡した。
「砂糖とレモンもあるで?」
「お砂糖頂戴?」
「おう」
忍足はスティックシュガーを手渡した。
「頂きます!」
私は、グイッと紅茶を飲んだ。
「この紅茶、すっごく美味しい!どこの紅茶?」
「レプトンやけど」
「レプトン?…入れ方が違うのかな?」
紅茶を飲み終えて、私は忍足を見直したのだった。
「侑士大好き!」
「何やねん、唐突に。俺も好きやで、不二子…」
私は忍足に抱きつきながら、心の中で誓ったのだった。
『この人、悲しませないようにしなくちゃ。私の愛で…』
忍足は私をベッドに腰掛けさせた。
「目ぇ、瞑ってくれへんか?」
私は目を閉じた。忍足はおもむろに立ち上がり、何かを取って戻って来た。そして、私の手に…
「こんなんで悪いんやけど、持ってて欲しいんや」
私はゆっくりと瞳をあけた。すると、シルバーリングが私の指に…
「…ありがとう」
「メッチャ好きやで。ずっと一緒にいような?」
私は、すっと夢から覚めた。長い長い夢から…