第1章 《ダイヤのA》バカでも風邪は引く
「…か」
「ん?」
「…一也の全部が欲しい…//」
「…//」
本心だった。こういう事は初めてだけどそう思った。
「…ったく…お前には敵わないな…真澄」
初めて名前を呼ばれた。名前を呼ばれるだけでこんなにも嬉しくなるのか…。
「風邪引いてなきゃ…良かったのにな」
「なんで…」
鼻先がくっついてしまいそうなほどの至近距離で優しく囁く御幸くん。
「深くキスが出来ねーじゃねーか…」
そう言って軽く唇を押し付けただけのキスをくれた。再び、胸元に戻り、今度は吸うように舐められた。
「あぁあっ//」
体が内側から熱くなる。
「ここ、こんなに濡らして…」
「ぁあんっ//だ、ダメっ…//」
「ダメなのか?俺はもっと真澄の喘ぎ声聞きたいんだけどな」
「…おかしくなり、そうっ…//」
「そんなとこも可愛いな…お前は」
コンコン
するといきなり、部屋のドアがノックされた。二人してビクッと体を強張らせる。
「御幸、俺だ、クリスだ」
「く、クリス先輩!!?」
突然の訪問者にあまり見たことのない御幸くんの焦り顔が見れた。
「そろそろ、起きないと朝食に間に合わんぞ?」
ドア越しにクリス先輩の声がくぐもって聞こえる。
「わ、分かりました!すぐ行きます!」
そう言うと足音は徐々に遠ざかり、聞こえなくなった。
「「はあー…」」
二人してため息を出す。
「悪い、ちょっと行ってくるわ」
そう言って頬にキスをして部屋を出て行った。