第6章 《WT》モテ期がきたようで…
起きてそうそう遊真に告白され、烏丸にはセクハラされ、本部に来てみれば、緑川、米屋、出水に付き合ってと言い寄られ…。全くなんなんだ、今日は。
「忍田本部長、お待たせしました」
「悪いな、わざわざ」
「いえ…」
「…ずいぶん、げっそりしてるが…」
「…色々ありまして」
窓際の席に向かい合うように座る。忍田本部長は何やら凄く真剣な顔をしていた。
「有栖川君」
「はい」
「…忍田と言う苗字になる気はないか?」
「…はい?」
忍田本部長は一体何を言いたいのだろうか…。
「いや…その…一緒に暮らしてみるのはどうだろう?」
「…忍田本部長、回りくどいのではっきりお願いします」
「そうだな…」
忍田本部長は深呼吸をしてからポケットから何やら正方形の箱を取り出してきた。…待てよ、この展開…
「結婚してくれないか、有栖川君」
「…ちょっと待って下さい、どこから突っ込んでいいか分かりません」
いきなり、結婚してくれなんてツッコミ所満載で疲れる。どうして結婚なんだ。
「好きなんだ、有栖川君」
「…忍田本部長のことは尊敬してますし、頼りにしてますけど…私、まだ結婚なんて…」
「君だって二十歳だろ?結婚は出来る」
「とりあえず、却下ですよ」
忍田本部長のプロポーズを断り、本部を後にしようとした時…また、新たな刺客が。
「アーリス」
「…太刀川さん」
「珍しいなーアリスが本部にいるなんて」
「まあね…」
忍田本部長にプロポーズされにきたなんて死んでも言わない。忍田本部長だってきっと他の人に言いたくはないだろう。
「何しに来たんだ?」
「ちょっと呼ばれてね」
「ふーん」
なんだか納得していなさそうな返答だ。まさか、太刀川さんまで好きなんだとか言い出さないよね…?
「そうだ、アリス今夜飲み行こうぜ」
良かった…太刀川さんは普通だ。
「私、そんなに飲めないけど?」