第1章 《ダイヤのA》バカでも風邪は引く
「なんだよ?」
「トイレに行ってきますっ」
慌てて部屋を出てトイレに入る。
どうしよう…御幸くんにまだ話してなかったんだっ…私が暗い場所苦手なのっ!!…なんかバカにされそう。
「ただいま」
「おかえり」
再び部屋に戻り、ベットに潜る。
「んじゃ、消すぞー」
「わー!!待って!!」
「…今度はなんだよ…」
「カメラ!」
「枕元にあるじゃねーか」
「あ、だよね」
枕元を見てカメラがあるのを確認する。もう、電気を消すと言う行動を阻止する手段はないのかっ
「…まさか、暗い場所とか苦手?」
「うっ…」
流石頭がキレる御幸くんは話が早いことで。仕方なく首を縦に振る。
「はっはっはっ意外だなー」
「笑わないでよ!」
快活に笑う姿を見て少しカチンとくる。だが、明るいままにしておけば電気代の無駄だ。私が折れるしかない。
「今日は我慢して寝ます…」
「はいはい、消すかんな」
ぱちっと電気のスイッチがOFFになり、一気に暗くなる。夜目が効かないから余計に暗く見える。
「夜目も効かないのか?」
「まあね…」
「ふーん」
意味ありげなふーんだ。こういう時の御幸くんは何か企んでいる。だが、暗い中では私に何も出来ない。ギシッとベットが軋む音が響くと同時に背中に手を回され、抱き寄せられた。
「へっ///み、御幸くん!?」
「これなら少しは怖くなくなるだろ?」
「あ…うん…」
不思議と怖さは薄まり、安心感に包まれる。